慶應義塾大学SFC1 志望校別予想問題解説
Passage 1: 人工知能(AI)を規制する世界的取り組み
この文章は、AI技術の規制に関する世界的な動向、特にEUの先進的な取り組み、それに伴う課題(汎用AIへの対応、国際的な足並みの乱れなど)について論じています。
穴埋め問題 (Cloze Questions) の解説
(1) grappling with (~に取り組んでいる)
AIの規制は「記念碑的な課題 (monumental task)」とあるため、政府がそれに「取り組んでいる」または「格闘している」という文脈が自然です。
ignoring(無視する) やsimplifying(単純化する) は文脈に合いません。
(2) outright (完全に)
「許容できないリスク」を持つAIは、
outright(完全に、問答無用で) 禁止される、という強い規制内容を示すのが適切です。conditionally(条件付きで) やtemporarily(一時的に) では規制の厳しさが伝わりません。
(3) stringent (厳格な)
「高リスク」な応用に対しては、当然「厳格な (stringent)」要件が課されます。
lenient(寛大な) やvoluntary(自主的な) は逆の意味になります。
(4) foundational (基盤となる)
GPT-4のようなモデルは、様々なAIの「基盤となる (foundational)」モデルと呼ばれます。文脈上、この専門用語が最も適しています。
(5) distinction (区別)
「モデルの開発者」と「展開する企業」を分けて規制するというアプローチは、両者の間に「区別 (distinction)」を設けることを意味します。
(6) consensus (合意)
EU、米国、中国がそれぞれ異なる規制の道を進んでいる状況は、「世界的な合意 (global consensus)」が取れていないことを示しています。
(7) in contrast (対照的に)
米国の「自主規制を好む」姿勢と、中国の「国家管理を優先する」姿勢は対照的です。そのため
in contrastが適切です。
(8) entrenching (固定化する)
明確な規制がない場合、AIが「社会的な偏見を固定化する (entrenching societal biases)」リスクがある、と警鐘を鳴らす文脈です。
(9) steer (導く)
規制の目的は、AIの開発を止める (
halt) ことではなく、有益な方向へ「導く (steer)」ことです。
(10) redefine (再定義する)
AIの規制という大きな取り組みは、最終的に「人類と創造物との関係を再定義する (redefine the relationship)」ほどのインパクトを持つ、という締めくくりです。
内容理解問題 (Comprehension Questions) の解説
(11) EUのAI法の特徴は?
正解:
It uses a tiered system to regulate AI applications based on their level of risk.(リスクのレベルに基づいてAIを階層的に規制するシステムを採用している。)根拠: 第1段落に「This framework categorizes AI applications into different tiers of risk (この枠組みはAIの応用を異なるリスクの階層に分類する)」と明記されています。
(12) なぜ汎用AIは規制が難しいのか?
正解:
They can be used for a wide variety of tasks, making it difficult to assign them a single risk category.(非常に多様なタスクに利用できるため、単一のリスク分類を割り当てるのが難しい。)根拠: 第2段落で「A single model could be used for a low-risk application... or a high-risk one (単一のモデルが低リスクにも高リスクにも使われうる)」と説明されています。
(13) 「ブリュッセル効果」とは?
正解:
EU regulations often become global standards because of the EU market's economic importance.(EU市場の経済的な重要性から、EUの規制が事実上の世界標準になること。)根拠: 第3段落に「The EU's approach... aims to set a de facto global standard, as companies worldwide... must comply with its regulations. (EUのアプローチは事実上の世界標準を目指しており、世界中の企業がその規制に従わなければならない)」とあります。
(14) 米国のAI規制アプローチはEUとどう違うか?
正解:
The U.S. favors a more decentralized, sector-specific approach with voluntary industry codes.(米国は、産業界の自主的な規範に基づいた、より分権的でセクター別の(分野ごとの)アプローチを好む。)根拠: 第3段落で米国の姿勢を「favored a more sector-specific, pro-innovation stance, relying on voluntary codes of conduct (セクター別でイノベーションを促進する姿勢を好み、自主的な行動規範に依存している)」と説明しています。
(15) AI規制に関する筆者の最終的な結論は?
正解:
It is a complex and ongoing process that requires balancing innovation with safety and societal values.(イノベーションと、安全性や社会的価値とのバランスを取る必要がある、複雑で継続的なプロセスである。)根拠: 最終段落で「a marathon, not a sprint (短距離走ではなくマラソン)」「an ongoing, adaptive process (継続的で適応的なプロセス)」「Finding the right balance (適切なバランスを見つけること)」と述べられており、文章全体の論調を反映しています。
Passage 2: 半導体サプライチェーンの地政学
この文章は、経済安全保障の観点から半導体が地政学的な競争の焦点となっており、各国がサプライチェーンの脆弱性を克服するために国内生産を強化しようとしている現状と、その難しさを解説しています。
穴埋め問題 (Cloze Questions) の解説
(11) chokepoints (ボトルネック)
サプライチェーンの「脆弱性」や「滞り」を意味する言葉として
chokepoints(隘路、ボトルネック) が最も適切です。
(12) reliance (依存)
最先端のチップ製造が台湾のTSMCに集中している状況は、台湾への「依存 (reliance)」が極めて高いことを示しています。
(13) triggered (引き起こした)
サプライチェーンの脆弱性が明らかになったことが、国内生産を増やすための政策の波を「引き起こした (triggered)」という因果関係です。
(14) subsidies (補助金)
米国のCHIPS法は、企業が国内に工場を建設するのを促すために520億ドル以上の「補助金 (subsidies)」を割り当てるものです。
(15) departure (逸脱)
これまでの「自由市場主義 (free-market orthodoxy)」から、国家が経済戦略を主導する政策への転換は、大きな「逸脱 (departure)」を意味します。
(16) solve (解決する)
単に工場 (fab) を建てるだけでは、サプライチェーン全体の複雑な問題をすべて「解決する (solve)」ことにはならない、という文脈です。
(17) persist (存続する)
サプライチェーン全体を自国だけで完結させるのは不可能なため、ある程度の国際的な相互依存は「存続する (persist)」だろう、と論じています。
(18) undermine (損なう)
補助金競争のような政策は、グローバリゼーションの恩恵を「損なう (undermine)」可能性があると批判されています。
(19) resilience (強靭性)
各国政府の課題は、グローバル化の効率性を維持しつつ、サプライチェーンの「強靭性 (resilience)」を高めることです。
(20) outcome (結末)
この半導体をめぐる競争の「結末 (outcome)」が、未来の技術的・地政学的な勢力図を決めると締めくくられています。
内容理解問題 (Comprehension Questions) の解説
(21) この文章の主な主張は?
正解:
The strategic importance of semiconductors has led to a global shift in policy, with nations prioritizing domestic production to ensure national security.(半導体の戦略的な重要性が世界的な政策転換を引き起こし、各国は国家安全保障のために国内生産を優先している。)根拠: 文章全体を通して、半導体が国家安全保障の問題となり、米国やEUが国内生産を促進する法律(CHIPS法など)を制定していることを説明しており、これが中心的なテーマです。
(22) サプライチェーンの主な脆弱性は?
正解:
The extreme concentration of advanced chip fabrication in a few locations, particularly Taiwan.(先端チップの製造が、特に台湾などごく一部の地域に極度に集中していること。)根拠: 第2段落で「extreme geographic concentration of manufacturing」「reliance on Taiwan」が「key vulnerability (主要な脆弱性)」として明確に指摘されています。
(23) 米国のCHIPS法はどのような政策か?
正解:
An industrial policy using government subsidies to boost domestic manufacturing.(政府の補助金を使って国内の製造業を強化する産業政策。)根拠: 第3段落で、CHIPS法が「allocates over $52 billion in subsidies (520億ドル以上の補助金を割り当てる)」法律であると具体的に説明されています。
(24) なぜ工場を建てるだけでは不十分なのか?
正解:
The semiconductor supply chain is a complex ecosystem with many other specialized inputs that are difficult to replicate.(半導体のサプライチェーンは、再現が難しい多くの専門的な要素(材料、装置など)から成る複雑なエコシステムだから。)根拠: 第4段落で、サプライチェーンには「manufacturing equipment produced in the Netherlands to specific chemicals (オランダ製の製造装置から特殊な化学薬品まで)」が含まれ、「Replicating this entire ecosystem is practically impossible (このエコシステム全体を複製することは事実上不可能)」と述べられています。
(25) 新しい産業政策の潜在的なマイナス面は?
正解:
They could lead to a 'subsidy race' and potentially undermine the benefits of globalization.(「補助金競争」を引き起こし、グローバリゼーションの恩恵を損なう可能性があること。)根拠: 第5段落で、批判者たちの意見として「could lead to a 'subsidy race'」「undermine globalization」が挙げられています。
Passage 3: アーバンドーナツ:リモートワークは都市をいかに再形成しているか
この文章は、リモートワークの普及によって都市の中心部が空洞化し(ドーナツの穴)、郊外の活動が活発化する「アーバンドーナツ」現象について、その影響、課題、そして都市の未来について考察しています。
穴埋め問題 (Cloze Questions) の解説
(21) seismic shift (地殻変動)
リモートワークの普及は、都市の地理に「地殻変動 (seismic shift)」とも言えるほどの根本的な変化をもたらした、という表現が変化の大きさを示しています。
(22) enduring (持続的な)
パンデミックによるリモートワークへの移行は一過性のものではなく、その影響は「持続的 (enduring)」であるように見える、という文脈です。
(23) knock-on (連鎖的な)
オフィスの空室率上昇が、オフィスワーカー相手の飲食店やクリーニング店に与える影響は、「連鎖的な (knock-on)」影響です。
(24) repurpose (再利用する)
都市計画者の課題は、空いてしまったオフィスビルを別の目的のために「再利用する (repurpose)」ことです。
(25) prohibitive (法外な)
オフィスビルの住居への転用は、技術的に複雑なだけでなく、費用が「法外に高い (prohibitive)」ことが多い、という現実的な課題を示しています。
(26) liberates (解放する)
リモートワークは、従業員を毎日の通勤の必要性から「解放する (liberates)」ものです。
(27) exodus (大量流出)
才能ある人材や経済活動が都市中心部から郊外へ「大量に流出する (exodus)」現象を指しています。
(28) pitfalls (落とし穴)
この変化は良いことばかりではなく、社会・経済的な「落とし穴 (pitfalls)」や思わぬ危険も伴います。
(29) loss (喪失)
リモートワークでは、人々が物理的に集まることで生まれる偶然の出会いや活気の「喪失 (loss)」が課題となります。
(30) balanced (バランスの取れた)
都市の未来は、中心部と郊外の成長を支える、より「バランスの取れた (balanced)」モデルを創造することにかかっている、と結論づけています。
内容理解問題 (Comprehension Questions) の解説
(31) 「アーバンドーナツ」現象とは?
正解:
The decline of economic activity in city centers and a simultaneous rise in activity in surrounding residential areas.(都心部の経済活動が衰退し、同時に周辺の住宅地域の活動が活発化すること。)根拠: 第1段落の最後に「a hollowing out of the city center, coupled with a rise in economic activity in suburban and residential areas (都心部の空洞化と、郊外・住宅地域での経済活動の活発化が組み合わさったもの)」と定義されています。
(32) リモートワークが都市に与える最も直接的な影響は?
正解:
A significant increase in office vacancy rates and a crisis in commercial real estate.(オフィス空室率の大幅な上昇と商業用不動産市場の危機。)根拠: 第2段落冒頭で「The most immediate impact is on the commercial real estate market. Office vacancy rates... have soared (最も直接的な影響は商業用不動産市場にある。オフィス空室率は急上昇した)」と述べられています。
(33) 「適応的再利用」とは何の戦略か?
正解:
convert underused office buildings into residential housing.(十分に利用されていないオフィスビルを住居に転用すること。)根拠: 第3段落で「converting office towers into residential apartments, a process known as adaptive reuse (オフィスビルを住居用アパートに転換すること、これは適応的再利用として知られるプロセスである)」と説明されています。
(34) リモートワークへの移行がもたらす潜在的なマイナス面は?
正解:
It could worsen social inequality, as its benefits are not available to all types of workers.(その恩恵はすべての労働者が受けられるわけではないため、社会的な不平等を悪化させる可能性があること。)根拠: 第5段落で、リモートワークの恩恵は主に知識労働者が受け、サービス業などの労働者は受けられないため「could exacerbate existing inequalities (既存の不平等を悪化させる可能性がある)」と指摘されています。
(35) 都市の未来に関する筆者の結論は?
正解:
Cities are not dying but are evolving into a more decentralized network of communities that requires adaptation.(都市は死につつあるのではなく、適応が求められる、より分散化されたコミュニティのネットワークへと進化している。)根拠: 最終段落で「not the 'death of the city'... but rather a profound rebalancing (『都市の死』ではなく、むしろ深遠なリバランシングである)」「evolving from centralized employment hubs into a more distributed network (中央集権的な雇用ハブから、より分散したネットワークへと進化している)」と結論づけています。
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